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2006年04月19日

インフォテリア インタビュー記事発掘

本日、久々にエントリーするのは・・・。
2000年春にインフォテリアの平野社長をインタビューした際の原稿を、ようやく探し出してきましたので、それをエントリーします。
このインタビューは、某IT系ニュースサイトに無記名記事として掲載されたものですが、実はもうサーバから削除されてしまった貴重なものです。
私は著作権を放棄したつもりはないので、ここで某サイトには内緒で、私および私の同業者への記録目的で、テキスト原稿のまま再掲載させていただきました。
(本来はHTML化し、写真など体裁も整えたものでした)

6年前に平野さんが考えておられたことと、現在の実際のXMLの動向とあわせてお読みいただけば、面白い読み物になるかと思います。

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XMLで天下を取る!あるXMLエバンジェリストの軌跡
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今、XML(eXtensible Markup Language)が熱い。日本で本格的なBtoB(対企業間)電子商取引が多数誕生すると思われる記念すべき『2000年』。企業間のデータ交換の手法としてXMLの存在が少しずつクローズアップされ、各企業サイトでXMLが採用されるケースが出てきている。しかしまだまだ巷には『XML』と聞いただけで眉をひそめる人が多い。その理由は「何に役に立つのかわからない」「HTMLで十分どんなことでもできる」「業界水準が煮詰まりきれてない状況で手を出すのは面倒そう」……といった理由なのだろうか。でも相手がどんなものなのか正確に見極めることなしに目をそむけることはもうやめよう。誰もが手をつけていない未開の領域に自らの足跡をくっきりと残しながら着々と歩いていくことを楽しんでいる人がここにいる。
インフォテリア株式会社 (http://www.infoteria.com/) 代表取締役 平野 洋一郎氏。『XML』の日本における『エバンジェリスト(伝道師)』とも言える存在である平野氏に、XMLの現在の実態について直撃してみた。

[STATS]:

Youichiro Hirano
平野 洋一郎
株式会社インフォテリア
代表取締役社長

年齢:36
家族:妻1
休日:インフォテリアを始めてからほとんど無い
趣味:ギター、歌うこと、緑色グッズのコレクション


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XMLとの出会い
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> まず、XLMに係わられることになった経緯は?

 私の前職は、ロータス株式会社というパッケージソフトウェア会社のマーケティング担当でした。従来パッケージソフトウェアの世界では、使用するアプリケーションが違えばファイルフォーマットが行えなくて当然、という認識がありました。つまり、Microsoft ExcelとLotus 1-2-3のデータは違って当然、Microsoft Wordと一太郎のデータは違って当然という認識です。まったく同じ表や、文書を作ってもです。しかしこれは、コンピュータを知らない人にとっては当然のことではありません。私は、ソフトウェアの企画に携わる中で、個人的にアプリケーションを超えたデータ共有のための方法論を模索していました。これは、来るべきネットワーク時代には、全く同じ用途のソフトウェアでもデータ形式が全然違うということがデータ交換・共有に支障を来すであろうとの考えによるものです。
 1994年頃、日本でもインターネットが普及しはじめてきました。HTMLによってOSやソフトウェアベンダーにに関係無く文書を作成、配布、閲覧できるようになりました。これを見て、文書以外にもHTMLと同じようにベンダーやOSに依存しないデータ形式として応用できないかと思っていたのです。

> そこにXMLはどう絡んできますか?

 1996年になって、W3C(=World Wide Web Consortium:インターネット技術の標準化機関)でXMLが議論が上がったとき、私はロータスで、あるJavaベースの製品に関わっておりその関係でXMLに接しましたが、その内容を見て、XMLが長年の課題の解答にならないかと考えました。しかし、その時点では、SGMLをやってきた人達を中心にXMLの仕様を議論していたので、最終的な仕様が、あらゆる形のデータを表現するのに適合するかどうか疑問をもっていたことも確かです。しかし、1998年2月、XMLがW3Cからの『勧告』(最終仕様として確定されること)になり、北原(現インフォテリア常務取締役)とこの仕様をレビューして「これならいける」と確信を持つに至って、XMLに全てを賭けることを決意しました。1998年9月に私は北原と一緒に独立し、インフォテリア株式会社を設立しました。
(改ページ)


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XMLって、なぜ必要なの?
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> どうしてそんなにデータ共有化にこだわられたのでしょう?

 本来、アプリケーションに依存しない形でデータを作成したり交換したりできることは、ユーザーにとって理想形です。なぜなら、普通のユーザーにはどうして自分のデータがアプリケーションに依存するのか、理解することはできません。例えば、Microsoft ExcelとLotus 1-2-3で全く同じ表を作っても全然違うデータとして保存されます。しかし、例えばビデオテープを見るときにメーカーや機種を意識するでしょうか? ユーザーにとって主役はあくまでもデータそのものなのですから、各アプリケーション製品はユーザーにアプリケーションの違いを意識させるような存在の仕方をしてはならないと思います。特に、インターネットに接続されていることが当たり前になってきて、多くの人がデータを交換し始めます。もちろん、個人だけでなく会社間も。そのときにソフトウェアが違うからといって、いちいちコンバーターや接続ソフトを作っていたのでは、とんでもなく手間とコストがかかってしまいます。

> しかし実際XMLにも、同じEC(電子商取引)関連のXMLであってもアリバの『cXML』、コマースワンの『CBL』などがあるように、複数の仕様が存在していますね。

 もともとXMLはだれもが自由に拡張して使うことができる仕様です。ここで拡張というのは、使用する用語を定義することで、XMLの世界ではボキャブラリと呼びます。つまり、XMLの本質から言って複数のボキャブラリがあるのも自然といえば自然です。ただ、これがあまりにバラバラではそれぞれで話すことができなくなるので、標準化がおこなわれています。しかし、いずれのボキャブラリも、基本である、XMLの仕様を満たしているので、『XSLT』(Extensible Style Language Transformations)という技術を使って簡単に変換をすることも可能です。しばらくの間は、標準化されないものも含めて数多くのボキャブラリが存在するでしょうが、そのうちに特定用途ごと収斂(しゅうれん)していくはずです。

> 今現在、一体どれだけボキャブラリがあるのですか?

 すでに数多くのボキャブラリが存在します。例えば、化学組成表現のための『CML』、数式表現のための『MathML』、地理情報システムのための『G-XML』、カー.ナビゲーションなどで使われる『POIX』、電子カルテのための『MML』、デジタル衛星放送のための『BML』、ニュース記事のための『NewsML』。これらは組み合わせて使うことも可能で、例えばデジタル衛星放送システム上でニュース記事を表現する場合などには、NewsMLで書かれたニュースのデータをBMLに変換するといった具合です。

> その仕様は、一体誰が定義しているのですか?

 一括して定義を行っている組織はなく、用途ごとに誰かが定義します。アメリカなどではどこかの企業が率先して定義し、それを公開していくうちにデファクトスタンダードになっていくケースも多く存在します。結構小さいベンチャーが定義してしまうこともあります。しかし、日本の場合『××協議会』的な組織に関連各社が集まって皆で話し合って決めることが多いです。きっと日本とアメリカの文化の違いなのでしょうね。
(改ページ)


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技術に強いベンチャーがもっと生まれるべき
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> アメリカには、御社のようにXML専業の会社はあるのですか?

 すでに10社以上あることを確認しています。日本では弊社以外知りません。実は、1998年9月時点で私の書いた事業計画書には、「おそらく1年後には競合がいくつか出ているはずである。その中でトップシェアを目指す」と書いたのですが、1年半以上立つ今になっても、実際に製品を持っている会社は一社も目にしません……。これが私には非常に残念に思えます。

> 御社にとって、それほどライバルは必要なものですか?

 本来サービスというものは、厳しい競争の中で洗練されていくものです。競合がある中で切磋琢磨され、だめなところは淘汰されるようなことがあって、初めて業界が成立するのだと思います。
 日本で競合になる会社が出てこないのは、技術系のベンチャー企業そのものの数が少ないことに起因していると考えています。確かに、最近では多数のベンチャー企業が設立されていますが、業種としては、サービス系がほとんどで技術系のところは大変少ないです。どうしてなんでしょう?日本にも優秀なエンジニアは多いのですが、きっと、そのような人達の多くはまだ大企業にいるんだと思います。実際、これまでの日本のソフトハウスは受託業務に走りがちで、優秀なエンジニアにとっては面白い領域ではなかったかもしれません。しかし、時代は大きく変わっておりベンチャー企業でも日銭を稼ぎに明け暮れずに世界に向けて大志を目指すことができる環境になってきています。是非、多くのエンジニアに起業して欲しいですね。
 おそらく日本の情報産業が成長していくためには、技術面をしっかり下支えする企業が多数出てこないとだめなのだと思います。これは、ビットバレーとシリコンバレーの最大の違いだと思います。シリコンバレーには、サービス屋だけではなく数多くの技術屋もいる。いろんな規模と方向性の企業が存在して、初めてシリコンバレーのようなグループの意味と価値が生まれるのだと思うのです。

> XMLについての、世間の認識が行き渡っていないことも理由の一つではありませんか? 「何の役に立つのかわからない」というのが世間一般の評価ではないかと思います。

 新しい技術ですから、まだ一般化していないのは事実です。しかし、HTMLの時も同じ状況で、最初にHTMLが出てきたときも、まさに「だから、どうなの?」という感じでしたよ。HTMLもXMLそのものが素晴らしいスーパーな仕様ではありません。みんなが使って初めて価値が出てくるものなのです。XMLだって同じです。

> 具体的にXMLを使うことによって、どういうメリットが生まれうるのですか?

 ブラウザ上で見える部分だけでなく、受発注データのやりとりなど表示に関連しない部分で非常に役立ちます。つまり、XMLはページメイキングのためのものではなく、『インターネット上でデータをやり取りする上での統一形式』なのだと考えてください。HTMLはページとして表示して初めて価値がありますが、XMLは違います。
 また、XMLは表現の分野においても『ワンソース、マルチパーパス』に貢献します。PCでも、PDAでも、iモードでも、それぞれのスタイルシートさえ用意しておけば、データそのものは全く同じもので表現し分けられます。HTMLのように、それぞれの機器のためのファイルを用意する必要はないのです。これを実現する技術は、前にも触れたXSLTという技術で、インフォテリアでも『iXSLT』として製品化しています。
 そして、XML形式で受け取ったデータは再利用が可能です。HTMLなら、各データはタグの間に埋没してしまって取り出すことができませんが、XMLなら各データの意味情報が生きています。だから、データ活用の幅が広がるのです。

> アプリケーション間のデータのやり取りの『通訳者』のような存在がXML、ということになりますか。

 乱暴に言えばそうです。インフォテリアの目標は、データがあらゆるアプリケーション間でオープンにカジュアルにやり取りできる世界を実現することです。この場合、XML自体は、表には出てこずに縁の下の力持ちとして働きます。これが、弊社名『インフォテリア』の語源である『information』+『cafeteria』という状況です。
(改ページ)

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和製XMLソフトウェアをアメリカに逆輸入
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> 御社が最近リリースされた『iConnector』という商品は、『Oracle』や『SQL server』などの主要データベースのデータをXML形式で出力するためのオプションソフトという位置付けなのだと思いますが、これらの機能は本来データベースソフトウェア側で持つべきものではないのですか? なぜこのような商品を御社が出さなければならないのでしょう。

 『iConnector』が実現している機能は、当然将来的にデータベース内部に包含されていくでしょう。が、現在は存在しません。これだけスピードの速い世界ですから必要なものを必要なときに提供することが重要です。それから、ユーザーは、既に使っている社内アプリケーションやデータベースをそう簡単にアップグレードできません。アップグレードによる弊害を多くの企業が経験として知っているからです。iConnectorは、現在の使用中のデータベースを使いつづけながら社外的なデータ交換を行うものです。ちなみに、Microsoft Excelもデータベース的に使われることが多いので、『iMaker』というクライアント製品を用意しています。

> 日本で今年ようやくB to B EC(対企業間電子商取引)が本格的になって、大量のデータがインターネット上でやり取りされる状況が生まれてきました。とすると多くのECサイトがXMLを採用していておかしくないと思いますが、実際に採用例はほとんど聞こえてきません。これはなぜなのでしょう?

 実はXMLを採用している例はいくつも出始めていますが、ほとんどがバックエンドでの適用なので表には見えてきません。まだWebサイト自体にXMLを使用している例は稀です。この大きな理由は、多くのエンドユーザーのブラウザがXML対応になっていないことが挙げられます。XMLに対応しているのは現在『Internet Explorer 5.0』だけで、『Internet Explorer』の以前のバージョンや『Netscape Navigator』に関してはまだXML対応していません。ですから、まだWebページのサービスとしてXMLを使用しているところは少ないわけです。
 また、大掛かりなECを実現できるような大企業は、システムそのものが大きいことや、既にシステムを従来の技術で作り上げていることから、一般的に新技術の採用には時間がかかります。その点、新しく興ってきているネット系ベンチャーは非常にノリがよく、XMLなど新技術の採用に積極的です。

> 『ビッダーズ』でも御社の技術を使われるという発表がありましたが。

『ビッダーズ』は個人からの出品だけでなく、ビジネスセラーと言って企業からの出品もかなり重要視されています。企業からの出品の場合は大量のデータを簡単に登録できないといけないので、その標準的な切り口としてXMLを採用するというわけです。『ビッダーズ』の企業秘密もあるので詳しくは語れませんが。

> 以前『MapFan V』などのインクリメントP株式会社を取材しましたが、そこでも御社の技術が使われていると聞いています。

 MapFanで使われているのは、XMLエンジン『iPEX』です。MapFanでは、タウンページと連動した最新情報をインターネット経由でサーバーに問い合わせて表示できるようになっているのですが、この問い合わせにXMLを使っています。この処理のために、サーバー側、クライアント側それぞれにiPEXを導入していただいています。これは弊社の設立後半年経った頃に実現したもので、XMLの『マルチ・プラットフォーム』といったメリットや先見性を十分ご理解いただいた上で採用していただきました。

> 今後、御社の展開はどうなりますか?

 我々が起業した頃に比べるとXMLの未来は非常に明るくなってきています。これからは、XML技術をベースとしたより具体的な用途のためのソフトウェアを開発していきます。例えば、企業間(B2B)ECのためのソフトウェアなどを投入していきます。また、あらゆるインターネット技術の本場であるアメリカの市場に向けて、弊社の製品をリリースしていきたいと考えています。そのために、この2月1日にアメリカ・ボストンにアメリカ法人を設立しました。既に米国Lotus社でLotus Notesのマーケティング担当General ManagerであったTim Browneを始め営業・マーケティングに長けているメンバーを5名採用しています。これから世界に向けて本格的に始動します。日本発の良質のソフトウェアを世界に提供できる企業、それがインフォテリアとなります。
(終わり)

投稿者 youko : 2006年04月19日 09:45

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